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実録【 ドン底からの脱出作戦!】

2024/6/23
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原 克之のポッドキャスト
【ビジョン実現への道】

【明確化は力なり】 原 克之のポッドキャスト 【ビジョン実現への道】

Shownotes Transcript

いつからだってやり直すことはできる。

わたしが探偵だった頃の話だ。 当時、わたしは大阪市西成区のあいりん地区で張り込みをしていた。

ある人物を一週間、ずっと探していた。

その地区には「わけありの人々」が、大勢たむろしていた。

朝からワンカップ酒をガブ飲みしているホームレスの方々や、日雇いの求人を求め、その日の仕事にありつこうとされている人々が多数いた。あの頃のこの地区には、なんとも言えない悪臭が漂っていた。わけありの人の中には事業を経営していたが、倒産で、ホームレスになった元社長や、人生を投げ出している人などもいた。さまざまな事情で、この地域に居住せざるずを得ない人々や、安住の地として住み着いている方々もいた。

わたしはボロボロの服装に着替え、労働者に扮装していた。

この地域には、普通では考えられないくらいの安宿があった。 わたしは探しだそうとしている人物の写真を手に持ち、一軒一軒尋ね歩いた。

毎朝、5時の始発電車に乗り、一週間、来る日も来る日も、この地域を探し回った。

しかし、一向に手がかりはつかめない。

この地域の住人の方々は結束が堅い。

それは皆それぞれが、わけありだという事情を充分飲み込んでいるからだ。 自由な中にも強固な連帯感を持っていた。

さまざまな敗北感や挫折の理由を抱えながら、この地に流れ着く。

そして当初は一時の隠れ蓑に過ぎなかった仮の住まいがいつの間にか、居心地が良くなり終の棲家となる人々もいた。

わたしは、自分が住む現実とかけ離れたこの地に佇(たたず)み、以前、読んだ新聞記事を思いだした。

作家の黒岩重吾氏の半生についての記事だった…