日本放送ポッドキャストステーション 飯田康二のリーダーズビジョン。日本放送アナウンサーの飯田康二です。「飯田康二のリーダーズビジョン」は、様々な業界の企業・団体のリーダーから、これからの時代、ビジネスパーソンに求められる知恵と知識を学ぶ、「飯田康二のOK!Cozy up!」ポッドキャスト限定コンテンツです。
今回は、1月7日(火)東京都内で行われました経済3団体の新年祝賀パーティーに参加した企業のトップへのインタビューをお送りいたします。経済3団体とは、日本を代表する経団連(日本経済団体連合会)、経済同友会、日商(日本商工会議所)の3団体です。
企業のトップが一堂に集まる祝賀パーティーで、今年2025年の日本経済のキーワード、日本の景気などについて伺いました。今回は、ANAホールディングス代表取締役社長、芝田浩二氏へのインタビューをお送りします。
ANAホールディングス芝田社長にお話を伺います。明けましておめでとうございます。おめでとうございます。よろしくお願いいたします。さあ、2025年が始まりました。まずは天気予報的にですね、今年のお天気を例えるとどう予報されますか?快晴と申し上げたいんですが、いろんなリスクもありますので、基本的には晴れ時々曇りという風に申し上げます。
曇りの部分というのはどういったことがありますか?これはですね、やっぱり読み切れない世界の情勢というのはあるんですね。例えば為替がどう変わるんだとか、関税をトランプさんが上げるという発言もされていますので、そこで人・物の流れがどう変わるのか、ここをしっかり読んでいくということで、一部曇りということにさせていただきます。
このトランプさんにどう向かっていくのか、みんな悩んでいるところですけれども、何か施策みたいなものありますか?これはですね、本当に読み切れないところがありますので、心構えとしては、ひとえにしなやかに動くと、これを心がけたいと思うんですね。一つの方向に固まっているとなかなか動きが取れないと。
ですから、人・物の流れ、これがどう動くかによってですね、我々の業態もですね、しっかりと需要のあるところに向かっていくと、そういう動きが取れたらいいなというふうには思っています。
トランプさん、為替に関してもかなり様々な言及があって、ドル安を志向するんじゃないかと言われておりますが、その辺、為替レートをどういったレンジで動くと想定されていますか。そうですね。これも私はずっと125円になったらいいなと言っているんですけれども、今の足元の情勢だとなかなかそこまで円が上がるというのはないだろうと。
その中で、いずれにしても来年度の我々の事業計画を策定するわけですので、そこの前提としては期待値を込めて145円程度で推移していってくれたら
ありがたいなというふうには思っています。そうすると、現下の水準よりは10円ちょっと円高になるんですね。これも当然トランプさんの政策もあるんですけども、日本と米国の金利の利幅が縮まると、
今のような円高があまり、円安が続くというのも考えられませんので、一定程度落ち着いてくるのではないかというふうには予測しています。トランプさんの政策の中で、どちらかというと環境政策は後ろ向きというふうになってますよね。そうすると、サステナブル燃料をどうするとかという航空会社皆さんにとって頭の痛いところがちょっと緩和されますか?
これはですね、一番大事なことは世界の航空会社が同じ目標に向かって環境保護に取り組むということなんですよね。したがって、アメリカ一国がですね、世界の秩序の中から離脱すると、こういうことは決して好ましい話ではないと思うんですね。
ただ、どういう動きをするのか、ヨーロッパの動き、アメリカの動き、それを見ながらですね、世界のルールというものがどう変わっていくのか、それを見据えて我々日本として、あるいはANAとして振る舞うのかというのは決めていくことになります。今のところ大きな変更は考えていません。世界で地政学のリスクが非常に言われておりますけれども、社長ご自身、一番注目されている地域というとどちらになりますか?
やっぱり我々の業態にとってはですね、ロシアの上空通過というのは一つの大きな課題になっていますので、やっぱりロシアとウクライナのこの関係、ここがどう収束していくかということが我々にとっては大きな今の注目点になっています。へー。
あそこが飛ばせないとなると、やっぱり飛ばせる飛ばせないで経営計画だいぶ変わりますか?そうですね、当然フライト時間が長くなりますので、その分長いフライトを実現するためのリソースですね、人員の計画というのはずいぶん変わってきますので、それは結果的にトータルな我々の生産量、
フライトを何便飛ばせるかというそこにかかっていきますので、大きなテーマの一つではあります。それから対中国というところ、国際線でいうとANAさんが大きく伸ばしたというのは中国の市場というのが歴史的にもあると思いますが、これ今関係がどうなっていくのか、トランプさんになっているというのが非常に取り沙汰されています。どうご覧になりますか?
日本と中国、おかげさまで足元では好転の兆しが見えていますので、今年は日中間の人と物の流れというのは順調に拡大していく、あるいは回復していくというふうに期待はしているんですけれども、アメリカと中国、今ご指摘の通り、
その関税あるいはそのその他の貿易摩擦ですね、これで人・物の流れがどう変わるのか、一部今のアメリカと中国の間の物・人というのは日本を経由して流れている部分がありますので、そこがどう変わっていくかというところは注視をしていますし、これからもしっかりと注視をしていきたいと思っています。
それから国内に目を移すと、石破政権は地方創生非常に大事にするんだと先日の記者会見でもおっしゃっていました。これだけ地方に対して便数を飛ばしているANAさんとしては、いろいろやれることあるんじゃないですか?そうですね、我々としても地方創生、今経営の重要課題として定義させていただいてますので、
実際感染症のみならずですね、離島を含めた地方路線の維持というのは本当社会インフラの一つだと思っていますので、これからも引き続き地方の創生含めた活力を取り戻す、あるいは維持するためにもですね、
継続をしていきたいというふうに思っています。それとインバウンドは今ずいぶん顕著ですね。これからもインバウンドのお客様が増えていくと、このインバウンドのお客様がさらに我々の地方路線を通して地方を訪れると、これは結果的にまた地方への新たな活力につながっていくだろうというふうには思っています。
一方でインバウンドで考えると、オーバーツーリズムなんてことが言われて、これかえって日本人が移動しづらくなるんじゃないかみたいな話もありますが、その辺はいかがですか?ここは欧米の事例を、特にヨーロッパの事例を見てもご指摘の通りだと思うんですね。そこを国あるいは民間、地方が出て観光インフラっていうのをしっかり整えていくことが大事だと思うんですね。今それこそすでにインバウンドの数が、
数で言えばコロナ前を超えています。ただこのまま何もインフラをしっかり整えることなくですね、数だけ増やしていくと、ご指摘の通りオーバーツーリズムの兆しは出てくると思いますので、数と質と両方を、
拡大拡充していくということが大事だと思いますね。地方路線も大型機化とかそういうことも考えられますか?地方路線はですね、残念ながら需要に応じた機材を展開するとこにスキルと思っていますので、当然需要がある地方路線については大型化を検討します。ただ今の足元の環境下ではですね、需要を見ているとしっかりそこに応じた小型・中型の機材で十分対応可能かというふうには思います。
芝田さんにお話を伺いました。ありがとうございました。