通信網の断絶や救助要請の殺到、消防署や警察署の被災による人員不足が主な原因。全国の応援部隊も道路の寸断で到着が遅れ、小規模消防本部の限界も指摘された。
石川県和島市では焼けた建物の撤去が進み、追悼式が行われた。富山県日見市では地盤の液状化で地区を離れる人が相次ぎ、新潟市では液状化で約1万7500名が被害を受けた。
胴体着陸した旅客機が空港の外壁手前のコンクリート構造物に衝突し、被害が拡大したとされる。専門家は構造物がコンクリートではなく衝撃を和らげる材質であるべきだと指摘している。
特に被害が大きかったのは奥野都地域で、豪雨災害で二重に被災した地域も多く、今後の生活への不安の声が多く聞かれる。
石破政権は物価高を上回る賃上げの実現や防災対策の強化などの政策を進め、実績を積み上げたいと考えている。
</context> <raw_text>0 こんばんは。7時になりました。NHK今日のニュースです。ラジオ第1は7時20分まで、FMは7時15分までお伝えします。本日、半島地震の発生から1年です。地震では石川、富山、新潟の3県で合わせて504人が亡くなりました。被災地の今日の様子です。
大規模な火災が発生した石川県珠洲市の観光名所朝市通りでは、焼けた建物の撤去が進み、ほとんど更地となっています。和菓子店を営んでいた塚本圭一郎さん(44歳)が店があった場所を静かに見つめていました。「当初は本当にもう...もうええわ、みたいな気持ちでやったんですけど、まあ、なんとかやっていこうかという気持ちには、少しずつですけど...」
「今はまだ戻れてないんですけども、できるだけ早くこっちに戻ってこれるような年にしたいですね。」地盤の液状化による被害が相次いだ富山県氷見市の日見地区では、地区を離れる人が相次いでいます。前田明さん(76歳)と妻の純子さん(72歳)は自宅が半壊と認定され、公費解体される予定で、今は別の地区の支援住宅で暮らしています。前田さん夫婦です。
「思いもよらないような...昭和だろうね。寂しいけどね。全てが変わっていくから、戻れない寂しさはやっぱり無縁じゃない。二人とも健康で過ごせればいいなと、それだけね。」新潟市では液状化でおよそ1万7500名に被害が出ました。
手水舎が倒壊した曽根神社は、クラウドファンディングなどを活用して壊れた設備を修理しました。初詣で訪れた女性は「きれいになったみたいで嬉しいです」と話していました。
石川県珠洲市では県主催の追悼式が行われ、およそ450人が参列しました。地震が発生した午後4時10分に合わせて黙祷。かつて医療品店を営んでいた穴水町の小林幸子さん(53歳)が遺族代表として言葉を述べました。「実家を介し...」
「その瓦礫の中で最愛の父を失いました。そんな中で支えてくれたのは地域の方からの温かい言葉でした。半歩ずつですが、この店を守り抜き、地域の皆さんと共に歩んでいく。それが亡くなった父への感謝であり、地域の皆さんへの恩返しであると考えています。」石川県の谷本知事は式辞の中で、
「新たな野党の未来を築くという強い決意を新たにしたところであり、復興への道を切り開いていくことをここにお誓い申し上げたいと思います。」石破総理大臣は挨拶の中で、「被災前の活気ある街並みと人々の笑顔を取り戻すため、生活基盤の再建、被災地の創造的復興に政府一丸となって取り組んでまいります。」
最後に、去年9月の豪雨災害で亡くなった16人を含む犠牲者を悼みました。野党半島地震で特に被害が大きかった奥能登地域では、豪雨災害で二重に被災した地域も多く、今後の生活への不安の声が多く聞かれます。現地で取材を続けているラジオセンターの寺沢俊幸プロデューサーと電話がつながっています。寺沢さん。
はい。私は年越しにかけて、珠洲市と輪島市で、特に1年経っても住まいが定まらない人たちを中心に取材を進めました。まずは、去年9月の豪雨で全ての世帯が床上浸水の被害に遭った珠洲市宅田町の仮設住宅を訪ねました。
ここに暮らしていた人たちは再び避難所や親戚の家などに移ることを強いられ、6日前の先月26日からようやく再入居が始まっていました。60代の女性は「1年前の地震では家を失った。3ヶ月前の水害では実家を失った。」
「さらに仮設住宅まで浸水してしまい、次は何を奪われるのか不安がつきません。」と話していました。さらに地震から1年経っても避難所での暮らしをされている人もいます。私は輪島市和歌浦町にある避難所を訪ねました。9人が保育所の中にテントを張るなどして寝泊まりされていました。80代の男性は
「地震で数ヶ月避難所での暮らしが続き、ようやく修復が終わった家に戻ったところで水害に遭った。1年ずっと住むところが定まらず、先のことを考えると寝られない日々が続いています。」と話していました。「住む場所が安定しない状態が1年続く人たちのストレス、苦しみは本当に計り知れないと感じます。」
「仮の住まいではなく安心して暮らせる家をどう確保するのか。今後も取材を続けていきたいと思います。」野党半島地震では救助体制の課題が浮き彫りになりました。NHKが地震で亡くなった人の被災状況を取材したところ、消防や警察に救助を求めたものの直ちに助けが来なかった人がおよそ50人に上ることが分かりました。
野党半島地震の発生後、遺族や地元住民からは「助けが来なかった」という声が多く聞かれました。NHKは住宅の倒壊や土砂崩れ、火災などで亡くなった人のうちおよそ200人について、遺族や住民などの証言のほか、自治体の資料などをもとに詳しい状況を調べました。
その結果、消防や警察に救助を求めたものの直ちに助けが来なかった人は48人に上り、このうち少なくとも15人については、倒壊した建物から声が聞こえたなどという証言から、救助を求めた時点で生きていたとみられることが分かりました。当時、通信網が断絶する中で救助の要請が殺到したほか、消防署や警察署も被災し、
人員が限られる中で速やかな救助活動が困難になっていたことがこれまでに分かっています。全国の応援部隊も道路の寸断などですぐにたどり着けなかったことも課題となりました。消防行政に詳しい関西大学の永田翔造教授は次のように指摘しています。
「小規模消防本部の限界が見えたという点が一つですね。当然その人員も少ないですし、機材なんかにも限界がありますので、同時多発的に発生する救助要請というのに必ずしもですね、すぐに対応できない。そういう小規模な消防本部というのはですね、やはり全国的に見ても非常に多いので、広域応援体制というのはやはり非常にやっぱり重要でして、緊急消防援助隊の体制のですね、さらなる強化というのは重要なんじゃないかなと。」
総務省消防庁と警察庁は今後の大規模な災害に備え、それぞれ自衛隊のヘリコプターで輸送できる小型の救助車両を各地の半島部に配備し、救助活動のための大型資材を載せることができる四輪駆動車を整備するなど、対応力の強化を図る方針です。次に今年の政局です。
国会で少数与党となった石破政権が、野党の協力も得ながら新年度予算案を年度内に成立させられるかが最初の焦点です。石破総理大臣は今年の抱負を語った動画を旧Twitter(X)に投稿しました。「いろんな党のいろんな立場の方々のご意見を聞いて政権運営をしたいなと。」
石破政権は物価高を上回る賃上げの実現や防災対策の強化などの政策を進め、実績を積み上げたい考えで、通常国会では新年度予算案の審議が最初の焦点となります。先の臨時国会では国民民主党や日本維新の会などの賛成も得て補正予算の成立にこぎつけただけに、与党側は通常国会でも両党を念頭に野党側の協力を得たい考えです。
ただ、国民民主党との間では年収103万円の壁の見直しで所得税の控除額の引上げ幅をめぐる主張に隔たりがあるほか、教育無償化を掲げる日本維新の会との教育政策に関する政策協議も始まったばかりで、野党側とどのように合意形成を図るかが大きな課題となります。
これに対し野党各党は、野党半島への支援の充実や学校給食費の無償化など、それぞれが掲げる政策について国会に法案を提出するなどして、政府与党に実現を求める構えです。立憲民主党の野田代表は「30年、1回ぐらいの改革を次々と実現していく。」
参議院選挙に向けて立憲民主党は国会での連携を、選挙での候補者調整にもつなげたいとしていますが、候補者の一本化などがどこまで進むかは不透明な情勢です。石破総理大臣は通常国会で内閣不信任決議案が可決されたり、予算案が否決されたりした場合、早期解散選挙もあり得るという認識を示していて、与野党の駆け引きが激しくなりそうです。
政治部の安藤一馬記者の報告です。「石破総理大臣にとって最初の関門は通常国会での予算審議となります。野党の協力を得られるめどは立っていない。野党が結束すれば内閣不信任決議案が可決される状況にもあり、綱渡りの国会運営が続きます。一方、今年は夏に参議院選挙を控える政治決戦の年でもあります。」
「与党が過半数を維持し政権の継続につなげるのか。それとも野党が衆議院と同様に与党過半数割れに追い込み、政権交代への足掛かりとするのか。与野党双方にとって正念場の一年となります。」
では、気象情報です。気象予報士の黒木愛子さんです。「黒木さん、今日は雨の中追悼式が行われましたね。」「はい、そうですね。今日は北日本中心の冬型の気圧配置になっていて、北陸では雨やみぞれ、東北や北海道日本海側では雪が降っています。」
「平地に雪を降らせるような強い寒気は新潟県の北部辺りまで今日は北上しています。北陸の平地や沿岸部では雪ではなく雨というところが多くなっています。これまでの雨で地盤が緩んでいるところがありますので、土砂災害に注意してください。また、北日本の多いところでは1日で30センチ以上、また札幌や山形など市街地でも1日で10センチ以上の雪の降ったところがあります。」
「夕方以降、一旦雪や雨の降る範囲は狭くなっていますが、今夜気圧の谷が近づくため、再び雪や雨が強まるところもありそうです。帰省や旅行先などでの車の運転など、十分気をつけてください。」「明日はどうなりそうでしょうか?」「明日も北日本中心の冬型の気圧配置が続きそうです。北陸や北日本の日本海側を中心に雨や雪が続くでしょう。」
「太平洋側では晴れて空気の乾いた状態が続きそうです。火の取り扱いには十分注意してください。」では、全国の明日の天気です。「沖縄、奄美は雲が多く、沖縄は朝まで、奄美は昼過ぎにかけて雨の降るところがありそうです。九州、中国、四国、近畿、東海はおおむね晴れる見込みです。ただ、山陰や近畿北部は雲が多く、岐阜県内も雲が広がり、雪や雨の降るところがありそうです。」
「北陸は明日も断続的に雨や雪で、雷を伴うところがあるでしょう。関東や山梨県はおおむね晴れますが、長野県内は北部ほど雲が多く、雪の降るところがありそうです。東北の日本海側は雪が降ったり止んだりの天気で、太平洋側では晴れ間がありますが、こちらも夜は雪の降るところがありそうです。北海道は日本海側やオホーツク海側で雪が降るでしょう。」
明日の最低気温は...
名古屋12度、金沢10度、新潟、長野、仙台は6度、東京13度、秋田5度、札幌、釧路は0度の予想です。晴れる太平洋側では昼間は日差しのぬくもりを感じられそうです。気象予報士の黒木愛子さんでした。引き続きニュースをお伝えします。
韓国南西部の空港で乗客乗員179人が死亡した旅客機の事故では、胴体着陸した旅客機が空港の外壁の手前にあったコンクリートの構造物に衝突していたことが明らかになり、韓国の複数のメディアはこの構造物との衝突で被害が拡大したという見方を伝えています。
韓国南西部の木浦空港で先月29日、韓国のLCC(格安航空会社)の済州航空の旅客機が胴体着陸した後炎上した事故では、救助された2人以外に乗客乗員179人が死亡しました。これについて韓国の国土交通省は、きょうの記者会見で、亡くなった全員の身元が確認されたと発表しました。
一方、胴体着陸した旅客機は空港の外壁の手前にあったコンクリートの構造物に衝突していたことが明らかになり、韓国の複数のメディアはこの構造物との衝突で被害が拡大したという見方を伝えています。この構造物はローカライザーと呼ばれる旅客機の誘導装置の土台として設けられ、滑走路の端からおよそ250メートルの場所にありました。
公共放送KBSはおととし6月の時点で滑走路から構造物まで十分な距離が確保できていないと指摘されていたことや、旅客機のオーバーランに備えて構造物はコンクリートではなく衝撃を和らげる材質で作るべきだという専門家の見方を伝えています。これについて国土交通省はきょうの会見で、外国の規定も調べ、専門家の意見も集めるとして調査を進める方針を示しました。
今年は戦後80年となる節目の年です。長崎市の平和公園では核兵器の廃絶を求める座り込みが行われました。長崎市の平和公園では毎年元日に核兵器の廃絶を求める座り込みが行われています。今年は約80人が参加し、長崎で原爆が炸裂した午前11時2分に合わせて黙祷を捧げました。
去年ノーベル平和賞を受賞した日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)の田中茂光代表委員は「この被爆80年を、核兵器をなくしていく、核のタブーをもっともっと強くしていく、そういう年にしたい」と訴えました。参加者の一人で高校生平和大使の津田凛さんは「被爆者が少なくなり、記憶を継承していくのが難しくなっていると感じます。」
「私たちが責任を持って被爆の実相を次の世代につないでいきたい」と話していました。一方、太平洋戦争末期の沖縄戦で最後の激戦地となった沖縄県糸満市では、戦没者への追悼と平和への願いを込めて新年を迎える行事が行われました。この行事は糸満市摩文仁にある沖縄平和記念公園で40年以上前から行われていて、およそ300人が集まりました。
午前0時となり新年を迎えると鐘が打ち鳴らされ、大きな聖火台に火が灯され、参加した人たちは静かに燃え上がる炎を見つめて平和への誓いを新たにしていました。宜野湾市から家族4人で参加した30代の男性は「祖母から沖縄戦の話を聞いているので、平和をちゃんと大切にする気持ちを持っていきたい」と話していました。
スポーツです。男子駅伝の実業団日本一を決める、元日恒例の全日本実業団駅伝は、旭化成が5年ぶり26回目の優勝を果たしました。群馬県を舞台に37チームが出場し、100キロを7人でリレーするこの駅伝レースは、旭化成とホンダの熾烈な争いとなりました。
最終7区、残り500メートルで旭化成の井川龍人選手がホンダの中山顕選手をかわし、ゴールに飛び込みました。旭化成が4時間47分32秒のタイムで5年ぶりの優勝。歴代最多の優勝回数を26に伸ばしました。ホンダが8秒差の2位。2連覇を目指したトヨタ自動車が3位でした。
NHK今日のニュース、谷口慎一郎でした。7時20分になります。